2015年 01月 13日
ボヌール
昨年、出版された銅版画家の南桂子さんの本を図書館で借りて夜に眺めています。
詩と童話も銅版画に通じる。
南さんらしい。
2006年に出た作品集もときどき図書館で借りて来ます。
2冊に同じ銅版画が載っていて印刷によって印象がちがうのも面白い。
南さんの銅版画は眺めていると静かな気持ちになる。
そして、じわじわとしあわせな気持ちになる。
南さんがいつもしていたアンティークの指輪の裏側に印されていたことば、フランス語で“bonheur”。
日本語で“しあわせ”。
93歳まで長生きをされた南さんだけれど、35歳で東京に上京されたときから南さんの人生が始まったような気がする。
のちに夫となる銅版画家の浜口陽三さんがパリに旅立つときに、友だちの南さんも一緒に行かないかと誘う。そこから人生が動き出す。
夫にすすめられて43歳でフランスの銅版画の研究所に通い始め数年間かけて学ぶ。
小さい頃から好きだった絵画と詩作。
上京してから学んだ童話。
両親が早くに亡くなって上京するまでは、自分の人生を生きていないような長い年月を富山で苦労して過ごすわけだけれど、その時間も南さんは大切なものを無くしていない。
親から受け継いだ素敵な感覚も今までの生きたすべてが、ボヌールとなって銅版画に詰まっている。
勝手ながら、南さんの作品とその背景に励まされています。
by minako-info
| 2015-01-13 22:36
| from mina