人気ブログランキング | 話題のタグを見る

mina*info minainfo.exblog.jp

みつはしみなこのインフォメーション


by minako-info

魚屋のホーハイ節

こどもの頃、津軽の農村地帯は農繁期となるとどこの家も夕飯の買いものに行く暇がないほど
真っ暗になるまで働いていた。
小高い坂をのぼって、毎日いろんな移動販売車がやって来た。
魚屋、八百屋、金物屋、クリーニング屋、函館牛乳、アイスクリーム、
冬場はチャルメララーメンと焼き芋屋が加わる。
買い出しに行けなかった主婦の強い味方。
移動販売車にはそれぞれテーマソングみたいな音楽を鳴らしてくるもの、
津軽なまりの親父のだみ声で早朝5時頃にやってくる、
「しんじみかいや〜〜〜しんじみかぁ〜〜いやぁ〜〜」
 とやってくる十三湖のしじみ貝屋だったり、
野菜の名前を早口の独特のリズムで次々という八百屋(ラップ?)物売りによって違った。
何十年たっても変わらないからときどき錯覚する。こどものままのような。
でも販売車のおじさんは、おじいさんになっている。
魚屋は大音量の津軽民謡を流して来る。
ベンガラベンガラと太い津軽三味線の伴奏に、ドドンコドンと太鼓の弾む音、
腹からうなるような女性民謡歌手の迫力のある歌声。
「あっ、さがなやだ」
 と思う。
津軽ホーハイ節が流れ出すと小高い坂の上の集落に不思議な現象が起きる。
まずうちの名犬チビ(迷犬?)が反応する。
「ホーーーーハイホーーーハイホォーーーーーハァアイィ・・・」
 という甲高い民謡の歌声に合わせて、遠吠えが始まる。
すると集落のあっちこっちから犬の遠吠えが聞こえ出す。
「うお〜〜〜んうおお〜〜〜〜ん」
 といった具合に。
しかもチビは普段見せないしっかりした態度で吠えている。
野生の狼みたいに。
それは津軽ホーハイ節だけにしか起きない。
番犬の野生を呼び覚ますホーハイ節。
by minako-info | 2006-03-04 17:59 | from mina