2009年 04月 10日
意味なんてなくてもいい
せなけいこさん さく え 『ふうせんねこ』
以前。ある編集者さんにわたしの絵を切り絵ですか?と聞かれたことがありました。これはときどき言われます。
“せなけいこさんの絵本を思い出しました。”とも言われたので、せなけいこさんの絵本をピンとこなかったわたしは、本屋さんでさっそく立ち読みしてみました。
“あぁ、これか~!”
とすぐに気づきました。こどものいる場所には必ずといってよいほど、よく置いてある絵本だったのです。
なぜかちいさいこどもの絵本の選びや服の選びはびっくりするほどダサいことが多く、着替えのときに着たい服を選んでもらうと、ありえない組み合わせが誕生するわけなんですが(笑)最近はそのことが興味深い。ダサさの中にピカピカ光るものがあり、たまらない魅力を感じています。
その魅力をくわしく知りたい。あなたたちをそこまで夢中にさせるって何なの~っ!?て秘密を知りたい。面白さを共有したい。
せなさんの絵本は、いままで持っていませんでした。
外国の作家さんに好きな人が多く、絵本棚に並ぶ日本の絵本は外国の絵本に比べるとかなり少ないです。
漫画は、ほぼ日本の作家さんばかりなのですが。
写真の絵本は、最近洋書絵本屋さんで気になって手に取ったらせなさんの絵本でびっくり。
“へぇ~!せなさんは、こんな作品も作られるんだぁ‥”
と新鮮に見えました。
数日後。近所の古本屋さんで偶然日本版の「ふうせんねこ」を見つけて迷わず購入しました。
いつもふくれてぷーぷー怒ってばっかりのねこの坊やが、最後にふうせんみたいに空に飛んでっちゃうお話しです。
明るい切り絵とお話しを読んで眺めていたら、こどもたちが“読んで読んで‥”とどうして持ってくるのか、ちょっとわかった気がしました。
「いやだいやだ」や「ねないこだれだ」や「にんじん」「もじゃもじゃ」「あーんあん」など、こどもをひざに乗せて何百回読んだことでしょう。“またこの絵本か‥”なんて正直思っていました。
ぷんぷん怒ったり、あーんあん泣いたり、いやだいやだ言ったり、ぜんぶ絵本の中のこどもに怒ったり泣いたりした理由はあるんだけど、読んでるこどもはそんなことどうでもよくて好きっていうか。意味なんて考えなくて好きっていうか(ちいさい子に限ってですが‥)
一緒にあーんあん言って、ぷんぷん言って楽しんでいる。夢中になって楽しんでいる。
意味なんてなくたっていい。楽しく作れれば。楽しく読めれば。そんなことを、せなさんの絵本からおしえてもらった気がしました。
こどもたちは、ピカピカが見えているんだと思います。
by minako-info
| 2009-04-10 03:13
| from mina