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みつはしみなこのインフォメーション


by minako-info

「母に欲す」を観て

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20代の頃。お母さんのこと大好きだからねぇ、みつはしさんは..と東京に来てからなかよくなった友だちに笑ってよく言われた。

そのたび、いやぁ、ふつうだよと思っていた。

生きているといろんなことがある。18歳で青森から上京して耐えがたいことでペシャンコになったとき、母さんと声に出して泣いた。

もうこの世とお別れするかもしれないと思ったとき、母さんごめん!と涙があふれてきた。

舞台「母に欲して」は、母に親孝行が何も出来ていない人間に突き刺さる話しだ。

好きな人ばかりが関わっている舞台をどうしても観たかった。

観終わってとても良かった。

舞台の中の東北の家族の雰囲気は、昭和の青森の家庭にあった雰囲気とよく似ている。

これから観に行かれる方もいるだろうから、感想はまたゆっくり書こうと思う。

前半。お母さんが不意にあっけなく死んでしまうことが物語の肝になる。幕が開いてずっと鼻水をすすりながら泣きっぱなし。

休憩もあり、2幕。長く感じなかった。

主演の兄弟役の銀杏BOYZ の峯田和伸さんも池松壮亮さんも、作・演出の三浦大輔さんが監督した2本の映画にそれぞれ主演をしたおふたり。

音楽は、去年の今ごろ心のよりどころだった朝ドラ「あまちゃん」の音楽を作った大友良英さん。

銀杏BOYZが作り出す音楽は、どん底の暗闇にいたときの恩人みたいな音楽。ライブも心に光をさしてもらった。

田口トモロヲさんは今回は父親役。

母が亡くなってすぐに後妻にはいる片岡礼子さんは、勝手に骨太なイメージがあったけれど、女の人の柔かさや哀しさが抑えた芝居から浮かびあがって切なかった。

東北の男の内弁慶なところも、トモロヲさんが憎たらしいぐらいに演じていらっしゃった。

そして気になる俳優さんだった弟役の池松壮亮くん。

20代前半で成熟というか達観したような魅力がある。すごいなぁ。まだまだいろんな顔を見せてくれて魅力のある役者さんになっていくんだろうな。

東京でもがきながら生きている長男役の峯田くんがすごくよかった。たいへんな役。強靭な精神力と肉体が無いと演じきれないと思った。演出家の思いを背負った役だと思った。

演技なんだけれど、そのままの峯田くんがポンといるような気もしたりして。地獄の中で生きている長男の母に対する懺悔と後悔と愛と。自身の再生と。

登場人物のそれぞれの思いが自分と重なった。

演出家の三浦大輔さんが早稲田大学に在学中から始めた劇団ポツドールを共に作りあげてきた俳優の米村亮太朗さんも古澤祐介さんも脇を固める素晴らしい演技だった。

弟の彼女役の土村芳さんは京都の大学で演劇を学んでついこの間まで現役大学生。出身は岩手県の方らしく東北のことばが板について抜擢がよくわかる。可愛くてスケベで男は萌えるはず。

それから余談だけど、ロビーに並ぶ花がリリー・フランキーさんの贈った花でいっぱいだった。

ほとんどの関係者と親しいのか、ひとりひとりのお名前で大きな花を贈るリリーさんって律儀ないい人だなと思った。

笑いもあり息をのむ場面もたくさんあり、PARCO劇場のあちらこちらからすすり泣きが聞こえてきた。

作・演出の三浦大輔さんはどぎついものの奥底の純粋を掬い上げる表現が、ほんとうに上手いなぁ!

もどかしいような不器用さで生きる愛すべき登場人物たちを観て、三浦さんは心根がすごく優しい人なんだろうなと思った。

主題歌が頭をかけめぐり、帰り道に母さんのことを思った。

「母に欲す」※1番の歌詞
 
作詞 三浦大輔
作曲 峯田和伸 大友良英
歌  峯田和伸

お母さん
おかげでぼくは
こんなに大きくなりました

お母さん
それなのにぼくは
こんなに大きくなりました

こんどは あなたに
聞きたいことがあります

ぼくは ちゃんと
あなたのこどもだったでしょうか

生んでもらい 育ててもらい
見守ってもらい

我慢してもらい  許してもらい
つき放してもらい

そんなぼくを
ほこらしげに 自分のむすこだと
胸をはって言ってくれました

母に欲して 欲して

何かを与えるとかじゃなく

欲して 欲して

何もかも求めることが出来たのか

ちゃんと欲して 僕は生きていきます



by minako-info | 2014-07-20 01:24 | from mina